「大きい&ミルキー」世界が唸るその美味しさとは?
「海のミルク」の異名を持つ牡蠣。日本の牡蠣は、サイズ・味の面でも世界的に高い評価を得ています。冬の旬を迎え、牡蠣好きにはたまらないこの時期、日本では生だけでなく、「牡蠣鍋」や「牡蠣フライ」などでも大いに楽しみます。日本における牡蠣の旬、種類や名産地、ご当地メニューをご紹介します。
目次
日本で牡蠣の美味しい時期は年2回!
日本の牡蠣の名産地を紹介!
日本発!おすすめ牡蠣料理
まとめ
1. 日本で牡蠣の美味しい時期は年2回!
冬が旬というイメージが強い牡蠣ですが、そもそも日本で食べられている食用の牡蠣には大きく2種類あり、「岩牡蠣」=写真上=と「真牡蠣」に分けられます。それぞれの旬や特徴について詳しく紹介してきます。
岩牡蠣:旬は6月〜9月の夏場。後出の真牡蠣よりも殻が厚く、サイズも大きく、重量もどっしりとかなりのもの。大人の手のひらサイズほどにもなり、磯の独特な塩味や渋みを伴う濃厚かつ複雑な味わいと、プリプリと肉厚でジューシーな食感が楽しめます。養殖も行われているものの、天然物の流通がほとんどで希少価値が高く、養殖が盛んな真牡蠣より高価で取引されています。
真牡蠣:旬は岩牡蠣と反対で、冬場の11月から春先の4月頃まで。大きさは岩牡蠣よりも小さめ。鮮魚店、スーパーなどで販売されているのは、ほとんどが真牡蠣です。旬の時期はもちろん、身も大きくなり、旨味も増して美味しくなります。養殖が盛んなため、生食だけでなく、加熱調理や冷凍加工されて一年中入手可能です。広島が名産地です。(写真提供:広島県) このように、食べる牡蠣の種類によって旬のシーズンが異なります。一般的に牡蠣のシーズンが冬という認識があるのは、圧倒的に流通量が多いのが真牡蠣なため。もしあなたが来日の際、美味しい牡蠣を存分に味わいたいなら、夏なら岩牡蠣、冬なら真牡蠣の名産地を選ぶなど、シーズンや自分の食べたい牡蠣に合わせてプランして下さいね!
2. 日本の牡蠣の名産地をご紹介!
↑ 美味しい真牡蠣が養殖されている広島の「牡蠣棚」。(写真提供:広島県)
日本の牡蠣の名産地はどこでしょう? 流通量が多い真牡蠣を中心に、生産地とそれぞれの牡蠣の特徴を紹介します。
1. 広島
日本における牡蠣の生産量1位の広島県の牡蠣の特徴は、殻が小ぶりなものの身が大きくプリプリとして、濃厚な味わいを楽しめる真牡蠣です。旬は10月~5月頃。夏場に産卵しないため、身も貝柱も大きく、プリっとジューシーな食感が特徴です。
2. 宮城
宮城県の三陸海岸にはさまざまな海流が混じり合い、栄養も豊富なことから、牡蠣が育ちやすい環境が整っています。旬の時期は11月~4月。このシーズンは生食用の牡蠣も多く、牡蠣小屋なども観光客で賑わいます。
3. 北海道
日本の北に位置する北海道には、牡蠣の三大名産地があります。太平洋に面している道東エリアの厚岸(あっけし)、オホーツク海に面したサロマ湖、津月海峡の海流がある知内(しりうち)です。サロマ湖と知内の旬は11月~3月、牡蠣の低温だと成長が遅くなる性質を活用し、水温の低い養殖時期を調整して年中養殖できる厚岸の牡蠣は、珍しく1年を通して食べられます。厚岸産はコクがあり、サロマ湖産はミルキーな甘みが強く、知内の牡蠣は濃厚なクリーミーさが特徴。
岩牡蠣なら、秋田県、山形県、新潟県、石川県や京都府の丹後半島、鳥取県の日本海沿岸など、太平洋側では千葉県の銚子、九州では、大分県の国東半島沿岸などが天然もののおもな産地です。三重県の鳥羽市湾岸では岩牡蠣の養殖が行われており、4月頃から出荷が始まります。大ぶりな岩牡蠣は日本国外ではなかなか食べられないレアものです。
3. 日本発!おすすめ牡蠣料理
それでは、日本の牡蠣料理をご紹介していきます。
上の写真は、牡蠣が特産の広島県の名物グルメ「お好み焼き」に香ばしく鉄板で焼き上げた牡蠣のソテーをトッピングした「ダブル広島名物・牡蠣お好み焼き」。お好み焼きは、日本風の「甘くないパンケーキ」。その名の通り、お好みの食材を小麦粉と卵ベースの生地にプラスして焼き上げます。刻みキャベツをたっぷり使い、肉や卵、海鮮などお好みの食材(広島の場合は焼きそばも)を加えて焼き上げます。甘酸っぱいソースをたっぷりかけて熱々をいただくB級グルメですが、牡蠣を加えることで一気にゴージャス感が増します。
こちらは、 牡蠣を醤油とだしで味付けしたご飯に炊き込んだ「牡蠣ご飯」です。ご飯が主食の日本人は、牡蠣に関わらず、旬の食材をご飯に盛り込むのが大好き。春先ならたけのこや山菜、秋なら栗などをご飯と一緒に味わいます。牡蠣は加熱しすぎで硬くならないよう、事前に出汁と醤油ベースのソースでさっと煮ておき、牡蠣から出た旨味がプラスされた ソースでご飯を炊き上げ、盛り付けの際に牡蠣をトッピングします。
日本の冬と言えば、熱々をテーブルで大人数でシェアする鍋を忘れてはなりません。牡蠣の名産地広島県の郷土料理の「牡蠣鍋」には、「土手(どて)焼き」の別名があります。「土手」とは日本語で水害を防ぐために、川岸に土を積み上げて築いた堤のこと。みそを土鍋の縁に塗りつけて土手に見立てます。調理の際にその味噌を溶かしながら味加減を調整します。濃い茶色の赤味噌がたっぷり使われた濃厚な味わいが特徴。新鮮な牡蠣は身が硬くならないよう、さっと火を通していただきます。
(写真提供3点とも:広島県)
さて今回は、入手しやすい冷凍牡蠣でも作れる「牡蠣フライ」=写真上=の作り方を紹介します。牡蠣フライは、牡蠣にパン粉をまぶして油でこんがり揚げたフライです。生よりフライが好きという日本人も多いので、ぜひトライしてみてください。
<カキフライの作り方(2人分)>
材料
牡蠣(殻をむいておく):大6個
揚げ油:キャノーラオイルなど適量
衣用
小麦粉(まぶし用):大さじ1
卵:1/2個
水:50ml
小麦粉:大さじ4
パン粉(ドライ):1カップ(食パンなどをフードプロセッサーなどで砕いて作っても可)
1. 牡蠣の殻を外すのは難しいので、購入の際に鮮魚店で殻を取る処理をしてもらうと楽です。牡蠣の身を塩水(水カップ1+塩小さじ1の割合)の中で軽くもみ洗いして汚れを落としたら、真水に変えて手早く洗います。洗ったら水気をよく切り、キッチンペーパーで水気をふき取っておきます。
2. 衣用の溶き卵(1/2個)に水を加えて50mlの卵液を作り、さらに小麦粉(大さじ4)を入れてよく混ぜます。
3. 平たい皿に小麦粉を広げ、牡蠣に小麦粉をまぶしたら、2.でコーティングします。 4. パン粉を広げた別皿で3.の牡蠣にたっぷりパン粉をつけます。 5. 鍋を強めの中火で揚げ油を180℃に熱します。衣をつけた1個ずつ油に静かに入れます。衣がきつね色になったら出来上がりです。 *大きさにもよりますが、揚げ時間の目安は2分ほどです。レモン、カクテルソースなどを添えて熱々を召し上がれ!
4. まとめ
あなたは日本産の新鮮な牡蠣や牡蠣を使ったお料理を食べてみたくなりましたか?オイスターバーに行きたくなった方も多いのでは?生で良し、焼いてよし、フライにして良しの牡蠣をぜひこの冬、味わってみてくださいね。
さて、最後に日本生まれの牡蠣にまつわるエピソードをご紹介します。
北米、ヨーロッパを中心にオイスターバーで人気の牡蠣「Kumamoto Oyster」=写真=をご存知ですか? 食名前の「クマモト」は日本の熊本県のこと。実は、アメリカで「Kumamoto Oyster」と呼ばれ、高級牡蠣として高い人気を得ている小ぶりの牡蠣=写真上=は、熊本県からの輸出品ではなく、主に北米太平洋沿岸で養殖されたアメリカ産なんです。
第二次世界大戦後の1945年、戦時中絶えていた「種牡蠣」の対米輸出再開の際、欧米では食べやすい小さめの牡蠣が好まれる傾向があるため、小粒な熊本産のシカメガキの輸出を行ったところ、大成功。米国内で養殖が進み、「Kumamoto Oyster」として銘柄化・ブランド化され、今日に至っています。日本生まれの素材が海外で育ち、定着している事実は、やはり日本人にとって嬉しいですし、感慨深いものがあります。
Kumamoto Oysterの例のように、それぞれの国に馴染む和食の案出がレストラン経営成功のカギ。
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