1年の最後に日本人が食べる特別な料理とは?
1年の締めくくりの日、大晦日(おおみそか)。以前は仕事などで実家を離れている家族も帰郷し、家族全員勢ぞろいして大晦日を過ごし、心静かに新年を迎えるのが通例でした。
ところが、近年(コロナ禍以前)は、年末年始の休暇を活用して国内や海外旅行に出かけたり、東京のディズニーランドやシー、大阪のユニバーサル・スタジオ・ジャパンなどのテーマパークのカウントダウン・イベントや年越しライブ、コンサートに参加する若い世代が増えました。渋谷のスクランブル交差点では多くの人々が集まり、警察が出動するほどの大にぎわい(騒ぎ)となり、話題になります。今回は、日本人がこだわりをみせる日本ならでは「大晦日」についてご紹介します。
目次
1. 大晦日とは? 名前の意味・由来
2. 大晦日の過ごし方と「除夜の鐘」
3. 大晦日の「年越しそば」に込められた願い
4.ローカル色の濃い「年取り料理」のあれこれ?
5. まとめ
1. 大晦日とは? 名前の意味・由来
「ゆく年・来る年」という日本語の表現の通り、日本において「大晦日(おおみそか)」は年の境となる日。大晦日は、新年の幸運と稲の豊かな実りをもたらしてくれる豊穣神、年神様を年明けとともにお迎えする準備を整える日です。
「大晦日(おおみそか)」の「晦日(みそか)」とは月の最後のこと。つまり、「晦日」に「大」がつく「大晦日」は、一年に一番の最後の日に該当する12月31日を意味します。大晦日の夜は「ゆく年・来る年」の区切りであり、そのまま年明けにつながるという位置づけです。そのため、日本では古来から大晦日の夜は就寝せずに年神様を迎え、おもてなしを捧げることで新しい年の幸と豊作を祈願する「年籠り」をしました。現在では年籠り本来の祈りの意味は希薄になりましたが、「日付が変わるまで寝ない(「ゆく年・来る年」を確認する)」「夜中に初詣に出かける」などが風習として残っています。(写真はコロナ禍以前、大晦日に参拝客が押し寄せる住吉大社)
2. 大晦日の過ごし方と「除夜の鐘」
現在の大晦日は、宗教的・信仰的な感覚が薄れて1年の節目として迎える意味合いが強くなったものの、「大掃除」「除夜の鐘つき」などの慣習が日本人に引き継がれています。
1年間で溜まってしまった汚れや厄を落とすことで、清々しい気分で新年を迎えるために必須なのが「大掃除」。一年最後の大晦日まで大掃除を引き延ばすのはNG。12月中旬には掃除を開始しておき、大晦日当日は簡単な掃き掃除程度で仕上げます。大晦日はバタバタと忙しく過ごすのではなく、新年を迎えるために準備万端整える日です。
また、大晦日の夜、多くの日本人が「除夜の鐘」をつきにお寺に初詣に出かけます。「除夜(じょや)」の「除(じょ)」という言葉には、新旧が入れかわるという意味があり、「除日(じょじつ)」は大晦日の別名でもあります。「除夜の鐘」の起源は、中国・宋時代。日本には鎌倉時代に伝来し、室町から江戸時代にかけて全国の寺々へ広がり、大晦日の伝統行事として定着しました。除夜の鐘を撞く回数は108回。通例では、107回を大晦日に撞き、最後の1回を年が明けてから撞きます。人の迷いや辛苦を取り去る力が宿るとされる除夜の鐘の音には、聞く人の気持ちを引き締めるしみじみとした深い響きがあります。
3. 大晦日の「年越しそば」に込められた願い
「年越しそば」は、そばに「細く、長く生きる」という縁起を担ぎ、江戸時代ごろから始まった大晦日の行事食。中国では長生きを祈願して、誕生日に「長寿ヌードル」を食べる風習かあるのと似ています。他にも、そば(麺)が細くて切れやすいことから「災厄や苦労を断ち切る」、金細工師がこぼれた金粉を集めるときに練ったそば生地を使っていたことから「金を集める、金運アップ」という願いも込められているそう。
年越しそばの具材や地域や家庭によって多種多様。長寿を願う「エビ」や金運を望む「油揚げ」など、縁起のよい具材を盛り込んだ天ぷらそばなどが人気。また、京都ではにしんそば、福井では(大根)おろしそばが代表的なスタイル。暖かい(スープ)そばを好む人もいれば、冷たいそばを選ぶ人も。そばではなく年越しうどんを食べる地方もあります。なお、讃岐うどんで有名な香川県では蕎麦ではなく、冬の野菜をたっぷり入れた「しっぽくうどん」、沖縄県では独特のスープと麺が特徴の沖縄そばを食べるなど、地域によっても違いがあります。若い世代では、ラーメンで済ませる人も多くなっています。
4. ローカル色の濃い「年取り料理」のあれこれ
年越しそば以外にも、年を越すことで家族揃ってひとつ「歳をとる」ことを喜び、歳神様にお供えしたものと同じ料理を味わう「年(歳)取り料理」が日本各地に伝わっています。
年越しそば以外にも、大晦日に食べる料理として「年取り料理」があります。年取り料理とは、文字通り、年をまたぐ時に食べる料理。日本各地に様々な「年取り料理」があります。
中でも、豪華な「歳とり膳」の風習が残っているのが宮崎県。大晦日の夜半から元旦未明まで起きて祝い、神社や寺院にお参りします。元旦には、この年取り膳の残りと雑煮を食べ、静かに年の初めを祝うそうです。 元旦におせち料理を楽しむ地域が多い一方、宮崎の年取り料理同様、北海道、東北、長野県や新潟県などでは地元の食材を盛り込んだ「(年)迎えの膳」を大晦日に食べる風習が残っています。大晦日の食は、ローカル色豊かに大切にその地域ごとに受け継がれているのです。
(写真は、宮崎県の豪華な「歳とり膳」
出典:農林水産省Webサイト https://www.maff.go.jp )
5. まとめ
大晦日という日を通じて、行事食について述べてきましたが、大晦日はお正月にいただく「おせち料理」の総仕上げを行う日でもあります。おせち料理を仕込みながら、年越し料理を食べつつ、1年を振り返り、新年を迎える心構えをする日本人。年越しや初詣に合わせ、甘酒や生姜湯、暖かいお汁の振る舞いをしたり、一般参詣者に「鐘撞き」をさせてくれる寺社もあります。それを楽しみに寒さの中、初詣に出かける日本人も多いのも確か。
大晦日を知ることで、日本人の「食」へのこだわりもお分かりいただけたのではないでしょうか。
JCIでは、和食はもちろん、様々な日本文化を体験し、より日本を深く理解できる多くのプログラムを用意しています。
いよいよもうすぐ2022年!新しい年に、夢の日本留学への扉、叩いてみませんか?
お問い合わせはこちらより
Komentar